平成27年度、厚生労働省発表「個別労働紛争解決制度の施行状況」より総合労働相談の内容で「いじめ・嫌がらせ」が66,566件、4年連続でトップ、この数字からは、パワハラに関連する問題として、どこの事業場にも起こりうる、身近な問題として捉えることができるでしょう。
また、妊娠後に降格させられたのは、男女雇用機会均等法に違反するとして広島市の女性が、勤めていた病院側に損害賠償を求めた訴訟で、平成26年10月23日、最高裁は一審、二審の判決を破棄し、広島高裁に差し戻す上告審判決を下しました。この訴訟は、妊娠や出産をきっかけに職場で不当な扱いを受ける「マタニティ・ハラスメント」(マタハラ)に対する初の最高裁判断として注目されました。
メンタルヘルス問題では、過重労働により、うつ病が増悪した従業員が解雇された事件で、会社側は、従業員が神経科への受診情報を、申告しなかったことに関して過失相殺(損害賠償金の減額)を主張しましたが、最高裁は従業員が神経科への受診情報等を申告しなかったことを理由に過失相殺することは出来ないと判断されました。
ハラスメントによるメンタルヘルス不調者の発生が、事業者にもたらす弊害として、その従業員の生産性(パフォーマンス)の低下は当然のことながら、同僚が目撃する所となり、その対応がまずければ、その同僚たちの生産性も低下させてしまうという二次的な問題も発生するため、慎重な対応が必要となります。
もし、メンタルヘルス不調者が休業した場合など、代替要員の確保が難しければ、現状の人員で、休業者の業務量も補わなければならず、もともと過重労働のうえ更に業務量が増え労働時間も長くなり、先の見えない慢性的な忙しさから、心身ともに疲弊し、新たな休業者が現れないか懸念されます。企業としてメンタルヘルス対策の実施は急務であるといえます。
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