健康診断のやりっ放しは危険です!!

 健康診断と一口に言っても様々なものがあります。一般健診診断と呼ばれるものの中には雇い入時の健康診断や定期健康診断があります。特に定期健康診断は事業者の義務であり、費用を負担し従業員に受診させ、健診機関から総合的な結果通知によって、二次健康診断が必要な従業員は把握されていると思われます。

 平成27年に全国で行われた定期健康診断の集計結果をみると「所見のあった者の割合」は53.6%と受診者の半数を超える高い比率でみられる現状があります。しかし、産業保健スタッフ等のいない事業場では、その従業員に対して医師等から意見を聴くこと、保健指導を受ける機会を与えること、二次検査受診の勧奨をすること、また受診後の結果を把握すること等、整備がされてないのが現状ではないでしょうか。

 

  健康診断を毎年行い、それぞれ従業員ごとに、診断区分それぞれの結果の経年変化を追うことで、生活習慣病のリスクを知ることができます。それに対し、何ら措置を行わずに長年放置された結果、高血圧症や糖尿病,脂質異常症などを見過したことで、脳血管・虚血性心疾患など重大疾病に罹患するリスクが高まり、大切な従業員が突然休業することも起こり得ます。そのような健康リスクは積極的に回避する必要性があります。

 

 また、近年では印刷会社における複数名の従業員が、胆管がん発症した事案,染料・顔料の中間体を製造する事業場で、複数名の労働者が、膀胱がんを発症した事案などの発生により、化学物質の危険・有害性に対し労働安全衛生法が改正され多くの、それを使用する事業場にリスクアセスメントが義務付けられました。職業性疾病予防対策を通し快適な職場環境の形成を推進する必要があります。